かの有名なの万葉歌人 大伴家持(おおともの やかもち)が、
越中守として高岡の地に降り立ったことをご存知でしょうか。
彼はこの地で223首もの歌を詠み、
同時に『万葉集』を編纂(へんざん:多くの材料を集め、またはそれに手を加えて、書物の内容をまとめること)した人物でもあります。
『万葉集』は日本に現存する最古の歌集で、今なお愛されており、
その素晴らしさを知ることができる施設が「高岡市万葉歴史館」です。
目次
万葉体感エリア
万葉体感エリアは、2021年の秋に常設展示室をリニューアルしたもので、
家持が越中で詠んだ主要な歌が
プロジェクションマッピングにより鮮やかに映し出されます。
プロジェクションマッピングは、3つの屏風を照らし出し
その映像には高岡出身で、ハリーポッターの本の挿絵を描いた事でも著名な
佐竹美保さんが描いた風景や人物が使われています。
「春」をうたった和歌の時は咲き乱れる桃やカタカゴ(カタクリ)が、
「冬」をうたった和歌には綺麗な雪景色が現れ、見る人の心を癒してくれます。
富山の地ならではの
「立山」
「奈呉ノ浦」(なごのうら:富山湾の伏木港から放生津にかけての沿海の古称)をうたった和歌も登場し、
富山の絶景を知ることもできます。
和歌を知っていくと、それがどこを歌ったものなのか知りたくなりますね。
万葉学習エリア
体感エリアで「万葉集」を五感で感じた後は、
学習エリアでクイズや資料を見ながら「万葉集」を学ぶことができます。
このエリアは2つに分かれており、
万葉集の基礎知識を知ることができるコーナーと
歌人 大伴家持が越中守に赴任してからどんな歌を詠んだのかを知ることができるコーナーに分かれています。
まず、1つ目のコーナーでは
万葉集とはどういうものなのかということを
「歌の数は?」
「どのように表記されていたか?」
「歌体とは?」
「どんな時に歌を作ったか?」など様々な視点から学ぶことができます。
ちなみに、万葉集には
●「雑歌」(ぞうか)
●「相聞」(そうもん)
●「挽歌」(ばんか)といった、3つの歌のジャンルがあり
「雑歌」は行幸・遊宴など公的性格をもった宮廷歌や、
旅の歌・自然や四季を詠んだ歌。
「相聞」は男女の‘恋愛’を中心に、心のうちの思いを伝える内容の歌。
「挽歌」は
人を葬る際に棺を挽く者が歌う歌、
死去する者が自らを哀傷する歌など、広く死を悲しむ歌となっています。
また、出版技術が日本に行き届いていない江戸時代以前には
和歌を写し取って後世に伝えるしかなかったそうです。
そうして残されたものを「写本」といい、
日本の昔の文化を知る貴重な手掛かりとなっています。
「万葉集」も「写本」のおかげで今に受け継がれており、
有名な古い写本の複製品や、資料が展示されています。
2つ目のコーナーでは「大伴家持」にクローズアップして高岡を学ぶことができるようになっています。
大伴家持がどのように出世していったのか、
いくつの歌を詠んだのかを
年表形式のような形で知ることができます。
また、越中万葉についても地図と文章で分かりやすく展示してあります。
それだけでなく、万葉まちめぐりMapとして
「家持が住んだ館」である「越中国主館跡 *現 伏木気象資料館」や
彼が働いていた役所があった場所の「勝興寺」、
そして歌にもでてきた「二上山」、「雨晴海岸」など
高岡市万葉歴史館を訪れた際に、ぜひ巡ってみたい場所がイラストで紹介されています。
スタンプコーナー
このコーナーでは
日本人が昔使っていた「万葉仮名」をつかって、
しおりやメッセージカードを無料で作ることができます。
文字を書くだけでなく
イチョウや桜、かたかごの花など色とりどりのスタンプも使うことができるので
子供達も楽しみながら学べる場所となっています。
ショップ
入口のそばのショップには
高岡市の花である「かたかごの花」をモチーフにしたグッズ、
万葉かるた、
和風アクセサリーなどのお土産や、
ドラえもんのグッズ
高岡銅器などの伝統工芸品が販売されています。
また、受付近くには
『万葉集と富山』『大伴家持歌を詠む』など
万葉歴史館に関連した書籍や
手軽に万葉集を知ることができる漫画などが、
たくさん置いてあります。
四季の庭
高岡万葉歴史館には
春、夏、秋、冬と四季ごとに作られた回遊式庭園があります。
- 春の庭
- 夏の庭
「春の庭」では、梅と桜がともに開花している景色を見ることができ
春の訪れを感じることができます。
「夏の庭」には、芝生広場を中心にアジサイやフジが植栽され、
せせらぎの周辺には
シバ・ヤブカンゾウ・ヒオウギ・ヤブランなどの草木類を見ることができます。
「秋の庭」では、クヌギやヤマモミジなど
落葉広葉樹が紅葉していく景色が見られます。
その傍にはススキやカワラナデシコなど、
秋を代表する植物も楽しむことができます。
「冬の庭」は竹が特徴的な枯山水庭となっており、
雪が降る頃になると
これぞ日本の美といえるような景色を鑑賞することができます。
おわりに
ここ、高岡市万葉歴史館は
高岡にゆかりのある大伴家持と歌人たちが残した万葉集を
じっくり味わうことのできる
北陸で唯一の施設です。
リニューアルされた万葉体感エリアでは
プロジェクションマッピングで美しい映像とともに和歌が蘇ります。
万葉学習エリアには
万葉集と大伴家持、そして高岡の事を知ることができる展示がたくさんあります。
また、春には春の庭が、夏には夏の庭が
季節ごとに彩り溢れる景色が
来る人を出迎えてくれます。
そんな情緒あふれる空間を、ぜひ高岡市万葉歴史館で楽しんでみて下さい。
アクセス
最寄り駅 JR氷見(ひみ)線 伏木(ふしき)駅から
●徒歩 … 約25分
●タクシー … 約5分(片道約1,000円)
●貸自転車 … 伏木駅には貸し自転車(数台)があります。電動自転車もあります。
JR・あいの風とやま鉄道 高岡駅から
●電車(※1時間に約1本) … 高岡駅 氷見(ひみ)線のりば「氷見」行。 → 約15分乗車 → 伏木(ふしき)駅 → 徒歩約25分 → 高岡市万葉歴史館
●バス(※1時間に約2本) … 高岡駅古城公園口(正面出口)4番のりば 加越能バス伏木方面行きのバスに乗車 → 約30分 → 伏木一の宮バス停 → 徒歩約7分 → 高岡市万葉歴史館
- 「伏木一の宮」バス停にとまる路線
- ・氷見市民病院(高岡ふしき病院)
- ・西回り伏木循環(高岡ふしき病院)
- ・西回り伏木循環(高岡市民病院・高岡ふしき病院)
- ・東回り伏木循環(高岡市民病院・高岡ふしき病院)
●タクシー … 約20分(出勤・帰宅ラッシュ時はもう少しかかります) 片道約3,000円